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2022-

中央大学研究開発機構 都市雨水管理の高度化ユニット

都市浸水対策と雨天時汚濁解析の高度化に向けた技術開発

[代表:古米 弘明]
研究目的
  • 都市浸水リスクの予測技術の向上と情報発信システムの構築(2022-年度)

都市インフラである下水道施設のDX(デジタルトランスフォーメーション)が”i-Gesuido” として強力に推進され始めている。下水道分野においても、ICTの活用による事業の質・効率性の向上のために、下水道施設における水位観測や浸水モデル予測の技術向上が求められている。そこで、下水道ネットワーク内での水位観測データを取得して都市流出及び浸水現象の再現性向上のためのモデルの検定や検証を進める。その際、リアルタイムの観測水位を用いたデータ同化手法を導入することで高精度な浸水予測が可能なモデルを開発する。また、流出モデルパラメータのチューニング技術を開発する。そして、観測データや予測情報の効果的な配信方法を検討する。また、沿岸・低平地域にある地方都市において、内水氾濫状況を再現可能なモデル構築やその導入方法を整理することを目的とする。

  • 下水道ストックの雨天時管理とリアルタイム運転制御の最適化(2022-年度)

集中豪雨や局地的な大雨の頻度上昇により、都市における内水氾濫による被害が増加しているため、被害軽減に貢献するためにも、河川と下水道の一体的な管理制御システムが求められている。そこで、既存の下水道ストックを最大限に活用することが期待されている。しかし、そのためには内水氾濫を高精度に再現可能なモデルによる予測が求められることから、上記1)の成果と連動する形で、都市浸水リスク予測に基づいて、ポンプやゲートなどの施設制御を効果的に行う手法を開発すること目的とする。

  • グリーンインフラの雨水流出抑制効果の定量評価(2022-年度)

現在、地方都市においても気候変動適応計画の立案が求められている。都市水害影響の一つしての内水氾濫について、ハード対策とともに、内水ハザードマップの充実や浸水リスク情報提供等のソフト対策とともに、都市域の緑地保全やグリーンインフラの整備も長期的な視点から重要な適応策である。グリーンインフラの整備は、生物の生息の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制だけでなく、雨水流出抑制の効果を有している。したがって、多様な機能を有するグリーンインフラを地域づくりのなかで多面的に評価することが求められている。そこで、気候変動適応策として、地域特性を考慮した様々な降雨シナリオにおける緑地保全やグリーンインフラの整備に伴う雨水流出抑制効果を定量化することを目的とする。

  • 都市沿岸域における雨天時越流水による糞便汚染予測と汚濁対策の確立(2022-年度)

東京港沿岸域では、降雨時に未処理下水を含む合流式下水道雨天時越流水が糞便汚染の要因となっている。したがって、お台場海浜公園のような都市の水辺親水空間において安全な水遊びや水浴を行う上で、合流式下水道雨天時越流水に伴う糞便汚染を予測することは重要である。そこで、降雨後の水質調査結果と沿岸域の3次元流動水質モデル解析を組み合わせて、糞便汚染実態を多角的に把握するとともに、糞便汚染の予測手法を高度化することを目指す。潮位と塩分濃度の観測データを用いた流動水質モデルの検証を深めることで、沿岸域における糞便汚染の指標微生物や汚水マーカーの時空間濃度分布の再現性を向上させる。そして、都市沿岸域の水辺空間における降雨後の汚染水質予測を行うこと、雨水滞水池などの汚濁対策の効果評価にも資することを目的とする。